コラム

2023.12.20

【プロが解説】シフト管理の基本とは?目的・方法・コツを伝授

シフト管理

シフト管理の基本

シフト作成やシフト管理は大変ストレスのかかる業務ですが、店舗マネジメントには必要不可欠な要素です。

当コラムでは、シフト管理の本質に迫り、正しくシフト管理を理解していただけるよう、基本からわかりやすく解説しました。

国内有名企業で多数導入実績のあるシフト管理システム「R-Shift」を提供する”シフト管理のプロ”の目線でまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

1.シフト管理とは(目的・やること)

(1)シフト管理の目的

シフト管理は、先を読み、効率的な計画を立てるための管理手法です。勤務シフト表や作業割当表を利用して業務改善を行うという意味で、極めて実践的で、現場でも受け入れやすいものです。

シフト管理を一言で表すなら、「勤務シフト表や作業割当表を使って、LSPを実践すること」といったところでしょうか。
(LSP:Labor Scheduling Programの略)
以下、勤務シフト表や作業割当表を使ったシフト管理について具体的にみていきましょう。

シフト管理イメージ

昔から、段取り8分の仕事2分(段取りで8割の労力を割き、残り2割を実際の仕事に振り向ける)という表現があります。それだけ段取りが重要で、段取りの良し悪しが結果に大きく影響を与えるのです。

労働集約型の典型である店舗運営において、段取りの良し悪しが営業成績に直結することは間違いありません。

店舗運営の中でも特にシフト管理の良し悪しは作業効率や売場のでき栄えに影響を与え、結果的に営業成績にも影響を与えるということになります。ですからシフト管理を正しく理解し、正しく進めることが非常に重要になってくるわけです。

(2)シフト管理の具体的な内容

PDSイメージ

シフト管理は、その内容から以下のように定義できます。

「店舗作業について、いつ・誰が・どのように行うかを定義し、それらを具体的に従業員に割り当て、仕事のムリ・ムラ・ムダを把握しながら業務を改善する一連の管理」

具体的には、マネジメントサイクルの「Plan-Do-See」を、以下のように実践することを意味します。

Plan:店舗作業を、いつ、誰が、どのように行うかを定義し、

Do :それらを従業員に割り当て、

See :仕事のムリ・ムラ・ムダを把握しながら業務を改善する。

「各店舗に任せていた管理を全社統一した形で実践する」という面でも、シフト管理は大変有効な手段であるといえます。

(3)「シフト作成」だけがシフト管理ではない

「シフト管理」=「従業員の勤務シフトの作成」という捉え方をする人が多いと思いますが、この考え方では不十分です。

しかし、シフト管理は、それよりも遥かに奥が深く複雑です。

従来の管理手法は、過去のデータを元に分析し、そこから課題を見つけ出し、それを改善に結び付けようとするものでした。もちろん、シフト管理も同じ機能を有していますが、さらにもう一つ大切な機能を有しています。それが「先を計画する機能」です。

次月の勤務シフト表や作業割当表を作成するということは必ずしも過去からの延長だけではなく、これから先を見据えて最善の計画を立てることになります。例えば、次月に従業員の大幅な異動があれば、今までの前提条件を見直して、ムリ・ムラ・ムダのないシフト計画をしなければなりません。

しかしそのような認識が浸透していないのが現状です。「シフト管理=先を見通すために有効な管理ツールである」という認識を持てれば、より有効に活用できるようになります。

2.シフト管理をおこなうメリット

(1)現場のムリ・ムダ・ムラを削減

シフト管理でムリ・ムダ・ムラを削減

適切なシフト管理を実現すれば、現場の業務効率化や従業員のモチベーション向上など、企業にとってのプラス要素をたくさん生み出すことができます。

たとえば、各店舗のシフト管理を全社で統一して実践することで、現場のムリ・ムラ・ムダを本部が把握でき、それらへの改善策を全店で実施することで、全ての店舗のコスト削減=企業全体のコスト削減にも繋がります。シフト作成にかかる店長のストレス軽減にもつながるはずです。

シフト管理が経営面にどう役立つのかについてまとめた記事もあわせてご覧ください。

シフト管理は経営に直結!効率的なシフト管理のための基本を解説

(2)現場スタッフの働きやすさ向上

現場スタッフの働きやすさ向上

現場スタッフにとって、シフト表の良し悪しは仕事に対するモチベーション維持、職場全体の雰囲気にも関わります。

希望になるべく沿ったシフト表の作成はもちろん、仕事の進めやすさや役割分担にも配慮したシフト管理を実践することで、スタッフが活躍しやすく定着しやすい環境を作ることができます。

3.シフト管理の方法とコツ

勤務のイメージ

シフト管理を実践する上で重要なのは以下の4つです。

①作業計画 ・・・店舗で必要となる作業を洗い出し、いつ、どれだけの作業量が発生するかを計画すること

②シフト計画・・・従業員に対して、いつ、どの時間帯に勤務してもらうかを計画すること

③割当計画 ・・・出勤する従業員に対して、何を、いつ、どれだけやってもらうかを計画すること

④MH管理 ・・・それぞれの計画がどのように実践されたかを管理し、課題を洗い出すこと

次の項目では、それぞれの機能に対して、どう実践すれば良いか?その「コツ」をご説明します。

(1)作業計画

作業のイメージ

作業計画では、店舗で行うべき作業を、主に以下の項目に従って定義します。

  • 作業分類名⇒バックヤード業務、売場業務、管理業務、など
  • 作業名⇒荷受作業、値札作業、品出作業、など
  • 作業サイクル⇒日次、週次、月次、随時
  • 作業実施曜日⇒月、火、水、木、金、土、日、祝
  • 作業実施時間帯⇒10:00~11:15、17:00~18:30など
  • 作業人数⇒作業を行う必要人数
  • 作業割当時間⇒作業者に対する最小割当時間~最大割当時間

これらを管理することにより、店舗で必要となる作業量、すなわち必要MHが時間帯別、日別、月別で算出できます。また、次に続く、「②シフト計画」、「③割当計画」、「④MH管理」の基礎情報になります。

LSPの教科書では、各作業に対してストップウォッチを使って作業時間を計測し、一定のスキルがある人をベースとして標準作業時間(RE値)を決めますが、この方法は小売業・サービス業の現場ではかなり負荷が大きいためおすすめできません。

作業計画においては、大きな目標である「生産性の向上」という視点から、最初はある程度ラフな時間設定でも十分だといえます。

(2)シフト計画

シフトのイメージ

シフト計画とは、①の「作業計画」で定義した作業を確実に実施できるよう、必要な従業員を投入する計画のことをいいます。実務的には、いわゆる「勤務シフト表」と呼ばれるものを作成することになります。

通常、シフト計画の手順は以下のようになります。

1.縦に従業員名、横にカレンダーが記入したシフト表を準備する

2.日々の作業量などを計算して、カレンダーの下に記入する

3.従業員から、希望休日や希望勤務などを提出してもらう

4.提出してもらった希望休日などを、シフト表に転記する

5.日々の業務が遂行できるよう、従業員の出勤日と時間帯を決める

6.全体の調整をして、勤務シフト表を完成させる

箇条書きするのは簡単ですが、実際のシフト作成は非常に大変な作業です。

例えば、以下のことも考えつつシフトを組まなければいけません。

・従業員の作業スキルを考慮して、作業が確実に行われるようにする

・店の責任者とサブの人は、同時に休まないようにする

・開店時、閉店時には、カギ所有者が必ずいるようにする

・発注日には、発注ができる人を必ず出勤させるようにする

・労働基準法で決められているルールを逸脱しないようにする

・極力平等なシフトを組み、不平不満がでないようにする

・土日の休みが平等になるようにする

・残業が特定の人に偏らないようにする

・有給休暇が平等に取れるようにする

・新人はベテランと同じ出勤日になるようにする

・従業員教育の時間が取れるようにする……などなど

シフト作成をする店長や責任者は、実に多くのことを考慮し、非常に多くの時間を割いて勤務シフト表を作成します。それでも従業員からの不平不満はなくなりません。シフト作成者にとって大変ストレスのかかる業務であることが想像できます。

(3)割当計画

作業割当イメージ

①「作業計画」で定義した業務を、②「シフト計画」で出勤を指示した従業員に対して、どうを割り当てるかを計画するのが「割当計画」です。

手順は以下のようになります。

1.縦に従業員名、横に時間帯を記入した、日別の作業割当表を準備する

2.その当日行う作業を、優先度の高い作業から、順次、割当可能な従員に割り当てていく

3.すべての作業を割り当てた後で、割当ができなかった作業に対して何らかの対応策を考える

4.それぞれの作業を見極め、ある作業が、その当日に実施することが特に必須でなければ、翌日以降に回すか、あるいは行わないといった判断をする

5.その当日にやるべき必須作業で、どうしても実施する必要がある場合は、他部門または他部署などから応援要員を確保する

6.全体を調整して、1日分の作業割当表を完成させる

勤務シフト表と同様、シフト作成者はさまざまなことを頭の中で考えながら作業割当表を作成させます。

以下はその一例です。

・作業可能者が複数人いた場合、より適任者を様々な角度から考えて決定する

・作業に与える影響が最小限になるよう、従業員が休憩を取る時間帯を分散調整する

・本社会議への出席者や出張者などがいた場合、その人たちを除いた形で作業の割当を行う

・作業割当がなるべく平等になるよう、過去の割当状況を考慮しながら割当を行う

・作業と作業の関係性を考慮しながら、同じ人に関係する作業をまとめて割り当てるようにする

・休憩後の作業は、時間的に余裕のある作業をなるべく割り当てるようにする

・場所的に離れている作業は、移動時間を考慮して作業開始時間を決める

・体力的または精神的にきつい作業は、なるべく連続しない様に考慮する

・一人が行う作業可能な最大時間を超える場合、同じ作業を複数人に分けて割当を行う

・急な休みが出た場合は、出勤している従業員だけで再度作業を割り当てる……などなど

ここれを1カ月分作成する必要があるため、手作業で精度の高い作業割当表を作成することは、不可能に近いです。

(4)MH管理

MH(マンアワー)管理とは、各店舗で計画された「勤務シフト計画」および「作業割当計画」を基に、どこに・どのような、ムリ・ムラ・ムダがあるかを把握する為のものです。

MHは、先にも述べたように、必要MH、投入MH、過不足MHと3つの指標があります。それらの指標を時間軸で見る場合は、「年間MH」「月別MH」「週別MH」「日別MH」「時間帯別MH」という捉え方をします。

また、組織軸で見る場合は、「全社MH」「エリア別MH」「店舗別MH」「部門別MH」という捉え方があります。

このようにMHは極めてシンプルですが、管理上の応用範囲は大変広いものがあります。特に多店舗展開をしている小売業・サービス業の場合、全店舗を横串で見ることができるため、本社側から見ても大変有効な管理ツールです。

これに準ずる資料を作成している企業も多いかと思いますが、「必要MH」と「過不足MH」を把握せず、投入MHだけを集計しているケースが多いのが現状です。それではどこにムリ・ムラ・ムダがあるのか判断できません。

過不足MHを把握してこそ初めて、ムリ・ムラ・ムダがある具体的な時間帯や曜日などがわかってきます。

導入実績No.1シフト管理システム「アールシフト」

R-Shift

(1)小売業・サービス業の導入店舗数1万店超

アールシフトは、小売業やサービス業のシフト管理に特化したシステムです。

おかげさまで2020年〜2024年と5年連続で「登録ID数1,000以上の小売業」における導入数No.1(※東京商工リサーチ調べ)となりました。

全国展開しているスーパー、生活雑貨店、レンタルビデオ店、衣料品店、ホームセンター、映画館、空港、コールセンターなど幅広い業種の企業様に選ばれています。

(2)柔軟にカスタマイズ可能

選ばれる理由の一つが、カスタマイズの柔軟性です。

シフト管理においては企業ごとに設けている独自ルールや細かな要望があるかと思います。

アールシフトなら800を超える標準機能から独自にオーダーメイドが可能です。

「店内レジと屋外レジの違いを考慮して割り当てたい(ホームセンター向け)」

「薬剤師と登録販売者を確実にシフトに入れたい(ドラッグストア向け)」

といった業種特有のシフト管理方法も、標準機能で既に搭載されています。

標準機能だけでは対応しきれない個別カスタマイズにももちろん対応。

お客さまの企業特性を理解した上で、設定のチューニングを行ないます。

(3)シフト管理+人時生産性向上を同時に実現

アールシフトではレイバースケジューリング理論(LSP)や統計分析手法、AI手法などを全面採用。仕事と人をMH(人時)で把握し、ムリ・ムダ・ムラの最も少ない効率的なシフトを実現しました。

誰が使用してもスピーディに高精度なシフト表が作成できるよう、当社独自の最適化手法を備えています。

(4)直感的に操作できる現場志向のシステム

高精度なシステムでありながら、直感的な操作でシフトが自動作成できるよう、インターフェースにも徹底的にこだわりました。基本操作はマウスだけでOK。公休と有休の色分け表示や、白黒印刷したときの見やすさなど、現場の方々が求める機能を実装しています。

システム自体の素早いレスポンスも好評です。

アールシフトでは、シフト管理システム導入を検討中の企業様向け体験利用プランや、メイン機能の使い勝手がわかるデモ動画を用意しています。

シフト管理方法について見直しを考えているご担当者さま、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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