コラム
2023.12.20
シフト管理に役立つ「レイバースケジューリング」とは?目的や活用方法
シフト管理
シフト管理やシフト作成をする店長さんに向けて「レイバースケジューリング」の目的や活用方法を紹介します。
小売業・サービス業の店舗におけるシフトの組み方のコツにつながりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.レイバースケジューリングとは?
アルバイトやパートの人員配置を適切に実施するための手法である「レイバースケジューリング」。
店舗運営などに欠かせないレイバースケジューリングについて考え方の基本を紹介します。
(1)レイバーとワークの違い
レイバースケジューリングについて知る上で、まずおさえておきたいのが「レイバー(labor)」と「ワーク(work)」の違いです。
どちらも「仕事」「労働」といった意味になりそうですが、明確な違いがあります。
一言でいうと、レイバーは「作業」、ワークは「仕事」です。
レイバーは、予め決められた内容を決められた手順に従って行う、どちらかと言うとブルーカラー的な業務を指します。
一方のワークは、ある目的や目標のためにさまざまな業務を工夫しながら行う、ホワイトカラー的な業務を指します。
(2)レイバースケジューリングの定義
(1)を踏まえてレイバースケジューリングを定義すると、「店舗で働く人の作業を対象とした、生産性を高めるための人員配置の手法」となります。
そのため、レイバースケジューリングを導入するにあたっては「店舗で働く人の気持ちや環境を十分理解する」ことが非常に重要です。
次の項目では、レイバースケジューリングを成功させるための考え方について紹介します。
2.レイバースケジューリング成功のために
(1)レイバースケジューリングの前提
レイバー・スケジューリングは、「人は楽しいと感じる時に、一番作業効率が上がる!」ということを大前提として導入する必要があります。
大切なのは、「店舗で働くスタッフが楽しいと感じること」をどう実現し、逆に「嫌だと感じること」をどう避けていくか?です。
(2)「人が楽しいと感じること」とは
店舗勤務において、「楽しいと感じること」を具体的に挙げると、
- 「店内の清掃が行き届いていて気持ちが良い」とお客様から褒められた。
- 「商品が綺麗に陳列されている」と店長から褒められた。
- 商品の発注数が上手く当たり、売上に貢献できた。
- 作業が時間内に終わり、気持ちよく定時に退社できた。
- シフトの変更依頼が少なく、自分の予定が立てやすい。
等があります。
お客さまや店長から褒められた経験や、売上への貢献、働きやすい環境などは、スタッフにとって「楽しいと感じること」に当てはまります。
(3)「人が嫌だと感じること」とは
逆に、店舗勤務で「嫌だと感じること」を具体的に挙げると
- やるべき作業が決まってなく、ただ上司の指示で動かされる。
- どこまでやれば終わりなのか、よく分からないまま作業をさせられる。
- 急な残業依頼や出勤依頼で自分の予定が狂ってしまう。
- 一生懸命やってもやらなくても評価が同じだ。
- 自分以外の人が何をやっているのかよく分からない。
等があります。
仕事内容が不明確だったり、評価基準が曖昧だったり、シフトに振り回されたり、といった要素は、スタッフにとってマイナスでしかありません。
「嫌だと感じること」をなるべく減らし、「楽しいと感じること」を増やすために、レイバースケジューリングをどう活用していくべきか、次の項目で説明します。
3.レイバースケジューリング活用のポイント
(1)やるべき作業の定義を明確にする
店舗運営に必要な作業について、「ここまでは作業A」「これは作業B」と、明確に分けるようにしましょう。
ただし、作業分類を細かく分け過ぎないことが重要です。日本人は几帳面な人が多いため全てをきちんと定義しないと気が済まない人が多いように見受けられますが、レイバー・スケジューリングにおいては、逆効果になるケースが多いです。
主要な作業を中心に定義し、その他の作業は主要作業の一部に含めるなどの工夫が必要です。実務的にはそれで十分です。
(2)作業に必要な時間を明確にする
店舗作業には、時間が一定の固定作業と、客数や売上などに比例する変動作業があります。
特に固定作業については、どのくらいの時間が必要なのか明確にしておくことで作業分担がしやすくなります。
一方の変動作業については、客数や売上の増減に従って必要時間を厳密に定義することは難しく、多くの企業で頓挫する原因にもなっています。
変動作業については、曜日や売上予算によって作業時間をある程度固定的に決める方が現実的です。
(3)作業に必要なスキルを明確にする
レイバー・スケジューリングの基本は、「作業に人を割り当てる」ことです。
通常「今日は○○さんが出勤だから、○○作業をやってもらおう」というやり方をしますが、これでは人任せの作業になってしまいます。
そうならないために、「○○作業はどういうスキルを持った人にやってもらうのか」を定義する必要があるのです。ただし、これもあまり厳密に行うのではなく、最初は大きく3段階(難>普通>簡単)くらいで良いと思います。
(4)上記3つをもとにしたマッチング表の作成
店作業を横軸、従業員を縦軸に取り、それぞれの作業を誰が実際に行えるようになっているかをマトリックス表で定義します。
その際、作業を割り当てる優先順位を考えながら定義します。例えば、◎(最優先で割り当てる人)、○(次に優先する人)、△(最後に割当てる人)という様な3段階で良いと思います。
ここまで、レイバースケジューリングの基本的なことに絞って解説してきましたが、昨今の人手不足を背景としてレイバースケジューリングに対する期待は益々アップしています。
また、それを可能とするコンピュータ性能の向上や人工知能(AI)の普及も背景にあります。
レイバースケジューリングの理論とコンピュータ関連技術の融合は、必ずや小売業およびサービス業のDX化に大いに役立つものと確信しています。当コラムがレイバースケジューリング導入のきっかけになれば幸いです。
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